帝都アガスティアへの潜入を控え、ルリアはビィと共にこれまでの旅をノートに書き記していく。オルキスを元に戻すため暗躍する黒騎士に対し、その行く手を阻んだのは歴史を書き換えようとするエルステ帝国宰相フリーシアだった。一行は危険な星晶獣アーカーシャの存在を知り、ユグドラシル・マリスとの対決を経て、フリーシアを止めるため帝都での決戦に向かっていく。
ルリア
むむむ……
それで、あの時は確か……
ビィ
おいおい……
こんな時に何してんだ?
ビィ
アガスティアには、
すぐ出発するみてーだぜ?
ルリア
はわわっ……! ご、ごめんなさい!
えっと、その、実は……
ルリア
どうしても今のうちに、
ノートを書いておきたかったんです。
ルリア
ここからはきっと、
旅を振り返る余裕も無いと思うから……
ビィ
まぁ……
いよいよエルステ帝国の首都に
乗り込むんだもんな……
ビィ
考えてみりゃ、
ここまで長かったような、
短かったような……
ビィ
アマルティア島に黒騎士が捕まってる、
って聞いた時は、
オイラ、何事かと思ったぜ……
ルリア
結局あれは、
フリーシアさんの計画によるもの
だったんですよね。
ビィ
エルステ帝国最高顧問の黒騎士と、
エルステ帝国宰相のフリーシアで、
それぞれ目的が違ってたんだよな。
ルリア
黒騎士さんの目的は、
何年も前からずっと変わらなくて……
ルリア
オルキスちゃんを元に戻すために、
たったひとりで頑張ってたんですよね。
ビィ
元々王国だったエルステが、
帝国になる前からだもんな……
ルリア
でも、黒騎士さんが捕まっている間に、
オルキスちゃんはフリーシアさんに
連れ去られてしまって……
ルリア
オルキスちゃんを探して向かったのが、
ラビ島……昔のエルステ王国の首都、
メフォラシュでしたよね。
ビィ
建物とかがすっげー古くて、
確か、星の民が来る前からある
街なんだよな。
ルリア
この街と、この街にある王宮は、
黒騎士さんとオルキスちゃんにとって
思い出の場所なんですよね。
ビィ
しかし、まさかオルキスが、
空の民と星の民、
両方の血を継いでるなんてな。
ビィ
オルキスが
ルリアに似た力を持ってる理由は、
これでようやくわかったわけだけど……
ルリア
私の正体について、
振り出しに戻っちゃったのは
確かに残念ですけど……
ルリア
でも、今はそれより、
オルキスちゃんの力になりたいんです。
立ち止まってるわけにはいきません。
ビィ
結局、フリーシアとオルキスは、
ルーマシー群島に居たんだよな。
ルリア
ルーマシー群島に封印された、
歴史を、世界を書き換える力を持つ
星の獣……
ルリア
星晶獣アーカーシャこそが、
フリーシアさんの目的でした。
ビィ
アーカーシャを起動させるために
オルキスとルリアが
必要だったんだよな。
ビィ
いくら星の民が気に入らねーからって、
歴史ごと消してやろうなんて、
とんでもねーこと考えやがるぜ。
ビィ
ルーマシーでは、
アーカーシャの起動を
なんとか阻止できたけど……
ルリア
フリーシアさんが魔晶で作り出した
ユグドラシル・マリス……
ルリア
その力を抑えるために、
ロゼッタさんは艇を降りて、
島に留まることになっちゃいました……
ルリア
あの時は、ロゼッタさんと
お別れになっちゃうんじゃないか、って
すっごく不安で……
ルリア
でも、ビィさんの力が、
解決の鍵だったんですよね。
ビィ
オイラ自身、
自分にあんな力があるなんて
思ってもみなかったぜ。
ルリア
秩序の騎空団のリーシャさんと一緒に、
アマルティア島を
帝国から取り返して……
ルリア
リーシャさんから情報をもらって、
今度はザンクティンゼルへ
行きましたよね。
ビィ
オイラ達の故郷を守らなきゃ、って
踏ん切りがついて……
ビィ
力を解放して、
過去の記憶と向き合う決心が
ようやく出来たんだ。
ルリア
ビィさんのおかげで、
ユグドラシルも
元に戻ることが出来ました。
ルリア
ロゼッタさんも、
またいつもみたいに
艇で一緒に居られるようになって……
ビィ
でも、結局、
オイラは何者なんだろうな……
ビィ
どうして星の力を
抑えることが出来るのかも、
よくわかってねーし……
ルリア
どんな力を持っていても、
どんな過去があったとしても、
ビィさんはビィさんです!
ビィ
……へへっ。
まぁ、ルリアにそれを言われちゃ、
へこんでるわけにはいかねーよな!
ビィ
それで、
何か帝国に怪しい動きがある、って、
このアガスティアまで来たんだよな。
ルリア
黒騎士さんが言うには、
オルキスちゃんを元に戻す手掛かりも、
このアガスティアにあるみたいです。
ルリア
オルキスちゃんを
元に戻すことが正しいのかどうかは、
まだわからないですけど……
ビィ
帝国の本拠地に乗り込むってことは、
いよいよ最終決戦だよな……
ルリア
帝国が、フリーシアさんが、
この空を破滅させてしまうほど
危険なことをやろうとしているなら……
ルリア
それは、
絶対に止めなくちゃいけないと
思うんです。
刻一刻と迫る決戦に向け、
ビィとルリアは決意を新たにする。
グラン達の戦いは、
いよいよ大きな節目を
迎えようとしているのだった。