霧の中、姿をくらませた少女を見失うグラン
たち。しかし、どこからか情報を得たドランクの助言により、少女の思い入れのある崖の存在を知る。
ビィ
くそぅ! 見失ったぜ!
あんにゃろう、どこ行ったんだ?
カタリナ
土地勘がないせいもあるが……
霧でこうも視界が悪いと、
あの子を探すのも一苦労だな。
ロゼッタ
ましてやあの子は、
この村の子供だものね……
かくれんぼじゃ勝ち目はないわ。
イオ
どうする?
闇雲に探したって、
見つかりっこないと思うけど……
ドランク
んー? そうだなぁ~
適当に探してれば、
そのうち見つかるんじゃないの~?
ドランク
ほら!
そこの茂みとか怪しくない?
どう? 何かいそう?
スツルム
いいから黙って探せ……
スツルム
あのガキ……
幽霊だろうと何だろうと
知ったことか……目にモノ見せてやる。
ビィ
やれやれ……
結局、地道に探し続けるしかねーのか?
ドランク
そうそう! そういえば、
あの子の行きそうな場所、
教えてもらってたんだよねぇ~!
ドランク
ほら、見える?
あの崖はあの子にとって、
思い入れがあるみたいで……痛てッ!?
スツルム
いつもいつも……
どうして、そういう大事な情報を、
先に言わないんだ……!?
ドランク
痛ってぇ!?
待って! 待ってスツルム殿!!
僕、なんで刺されてるの!?
ドランク
割と褒められること
したと思うんだけど……痛って!?
スツルム
言うのが遅いんだ! 毎回毎回!
ビィ
よっしゃ!
とにかくこれで、
あの子を探す目星がついたな!
ルリア
あの子の目、
すごく寂しそうな色をしてました……
ルリア
きっと何かあるんだと思います……
行きましょう! グラン!
あの子のことをもっと知るために!
少女の元にたどり着いたグラン
たちに、観念したように打ち明けられたのは悲しい過去。不治の病を患った妹との別れ……そして、流行り病によってひとり残された少女のたった一つの願いが、星晶獣セレストを呼び寄せたのだと、少女は語るのだった。
???
まさかここまで来るとは……
どうしてこの場所を?
ドランク
んっふー!
ちょぉっと特別な情報網があってねぇ!
???
お前……? どこかで……?
ルリア
教えてください!
貴女は……妹さんのために、
セレストを呼び寄せたんですか?
???
妹は……不治の病を患っていた。
治療するためには、
この島を出なくてはならなかったが……
???
当時の騎空艇の技術は、
本当、可笑しいくらい未熟で……
無事に航行出来るかは五分五分だった。
???
それでもあの子は行くしかなかった。
だから、あの子はこの島を出て
……それっきりだ。
カタリナ
じゃあ、君は
その妹さんを甦らせるために、
セレストを……
???
はん……そんなわけないだろ。
あの子ならきっと生きてる。
あの子がそう簡単に死ぬわけがあるか。
???
身体は弱かったけど、
私よりも肝の据わった子だった……
何があっても、あの子なら生きてるよ。
イオ
じゃ、じゃあなんで!?
なんでアンタは、
星晶獣を呼んだりなんて……
???
それはもっとありふれた理由だ……
本当に……
なんてことない願いだったんだ……
???
なぁ……家族に
また名前を呼んでほしいというのは、
そんなに贅沢な願いだと思うか?
???
私が望んだたった一言は、
こんなにも
許されないものだったのかな……
ロゼッタ
家族に……?
それじゃあ、貴女……
貴女の家族は……
???
死んだよ、全員、流行り病で……
私を残して、眠るように死んでいった。
???
そして、私自身も
流行り病に蝕まれながら、願ったんだ。
また家族に名前を呼んでほしいって……
???
そうしてあいつが……
セレストが現れたんだ。
ビィ
で、でもよぅ……
村の人が言ってた
セレストの能力じゃ……
???
そうだ……
セレストには死を奪う力はあっても、
生を与える力はない。
???
だから結局……
私の家族は甦らなかった……
だから私は……ひとりぼっちなんだ。
ルリア
そんな……そんなこと……!
???
さぁ、昔話はお終いだ。
ここから先の相手は、
私のとっておきの魔物だ……覚悟しろ!