グランサイファーに帝国戦艦が迫る。艦内では、フリーシアが「最後の悪あがき」と称してオルキスに星晶獣ミスラの召喚を命じていた。フリーシアは召喚までの時間稼ぎとしてグランサイファーに魔物をけしかけてくる。
ラカム
ちっ……
案の定というか……
帝国の戦艦がつけてきやがるな。
イオ
もう……往生際の悪い連中ね。
きっぱり負けを認めて、
帰っちゃえばいいのに……
カタリナ
ん? 甲板に人が出てきたな……
あれは……
フリーシア
まんまとルリアを、
取り返していきましたか……
フリーシア
あれほどの戦力を有しているとは
想定以上です……
作戦の立て直しが必要ですね。
帝国兵
では、このまま一度、
帝都のほうへ……?
フリーシア
いえ……作戦は崩れましたが、
カードが尽きたわけではありません。
ここからは私の悪あがきです。
フリーシア
星晶獣ミスラの召喚を命じます。
いけますね?
オルキス
…………
フリーシア
結構……
召喚までの時間稼ぎは、
こちらで請け負いましょう。
フリーシア
魔晶研究の副産物……
あまり使いたくはありませんが、
背に腹は代えられませんね……
ルリア
あれ……オルキスちゃん!?
カタリナ
その隣には、
宰相殿もいるようだな……
ビィ
っておい!
向こうから魔物が、
明らかにオイラ達を狙ってきてるぞ!
ラカム
魔物をけしかけてきやがったか……!
進路を塞ぐ奴らには、
悪いが容赦しねぇぜ!
ルリアが星晶獣の気配を感じ取った。ノアも力を感じ取り、おそらくミスラだろうと話す。オルキスが召喚したのだろうが、彼女がいるのに何故か黒騎士の姿が見えない。そして、いったい何があったのかを考える暇もなくミスラが襲いかかってきた。
オルキス
…………
フリーシア
準備が整ったようですね。
ならば彼らにぶつけなさい……その力を。
ルリア
この気配……
気を付けてください!
星晶獣が来ます!
オイゲン
星晶獣だと!?
ってこたぁ、そいつはまさか……
ノア
ミスラだろうね……
僕も力を感じるよ。
カタリナ
おそらくは……
オルキスが召喚したものか。
イオ
でも、オルキスの保護者は、
黒騎士じゃなかったの?
あそこに黒騎士はいないわよ?
イオ
あっ!
まさかあの女の人が、
鎧を脱いだ黒騎士とか……
オイゲン
いや、それはねぇなぁ……
ありゃ、間違いなく別人だ。
ラカム
いまとやかく考えても仕方ねぇ……
来るぞ! 全員構えろ!
ミスラは無事撃退できたものの、ルリアはオルキスの声が聞こえないと嘆く。ひとまずグランサイファーの整備のためガロンゾへ戻ったグラン
達。そんな一行の元に秩序の騎空団に所属するという女性がやって来た。彼女は連行した黒騎士の事情聴取に同席してもらいたいと言うのだった。
力を合わせ、
オルキスの使役する星晶獣ミスラを
退けたグラン一行。
溢れ出たその力の一部を、
空図の欠片と共に
ルリアは吸収するが……
ルリア
オルキスちゃんの声が……聞こえない。
ルリア
何か……
きっと何かわかると思ったのに
何も聞こえない……
ルリア
これが……
いまのオルキスちゃんの心なの?
カタリナ
黒騎士がオルキスのそばに
居なかったことも含め、
帝国に何かあったのは明らかだな……
カタリナ
それがオルキスにとって、
辛いものとなってないといいが……
ルリア
オルキスちゃん……
気づけば帝国の戦艦は姿を消しており、
それからもガロンゾに
現れることはなかった。
船大工
ったく……
本当、無茶しすぎですよ!
オイゲン
悪い悪い!
でも、このほうが
修理のし甲斐があるってもんだろ?
船大工
はぁ……まったく……
イオ
だいぶ無理させちゃったけど、
グランサイファーが、
もう直らないなんてことは……
ノア
そこは安心していいよ。
影ながら、僕も整備に力を貸すからね。
ノア
艇造りの星晶獣の名に懸けて、
グランサイファーは、
完璧に直してみせるさ。
ラカム
へへっ……
これ以上の頼もしい
船大工もいねぇよな!
カタリナ
ふっ……そうだな。
それじゃ、
グランサイファーは任せるとして……
カタリナ
私達はゆっくり休むとしようか。
予期せぬ事態の連続で、
妙に疲れたというか……
???
失礼……こちらの騎空団の団長は
グランさんで
間違いありませんか?
???
…………
ビィ
ん? そうだけど……
オイラ達に何か用か?
???
私達は七曜の騎士が一人、
碧の騎士率いる
秩序の騎空団の者ですが……
???
このたび、エルステ帝国からの要請で、
元エルステ帝国最高顧問、
黒騎士アポロニアを捕縛致しました。
???
つきましては、
その事情聴取にご協力願いたいのです。
オイゲン
く、黒騎士が捕まった……?
???
ええ……
これからアマルティア島の拠点で、
事情聴取が行われます。
???
お手数ですが……
ご同行いただけますね?
ガロンゾに最後に現れた二人組は、
思わぬ事態を
グラン一行に告げる。
目に見えぬ陰謀と策略の
大きなうねりが、一行を静かに
飲み込もうとしているのだった。