エルステ帝国の戦艦がガロンゾに来ているという噂から、用心しながら進むグラン
一行。すると、突如何かに反応したロゼッタは、ひとり整備中のグランサイファーへと戻ろうとする。
カタリナ
ふむ……兵士の気配はないが、
早くどこか落ち着ける場所を
探したほうが良いかもしれないな。
カタリナ
グランサイファーが整備中である以上、
よろず屋にでも、
宿屋を紹介してもらって……
ロゼッタ
っ!?
イオ
ど、どうしたの? ロゼッタ。
ロゼッタ
な、なんでもないわ……
ところで、騎空艇の整備には、
その騎空艇を持つ騎空団の中から、
立会人が必要なんじゃないかしら?
オイゲン
立会人?
いやぁ……信頼のおける連中だし、
別に必要ないんじゃねぇか?
ロゼッタ
いいえ! 絶対必要よ!
ってわけでアタシ、
グランサイファーに戻ってるわね。
ビィ
あっ! おい!
どうなってんだ? こりゃ……
カタリナ
さぁな……
ともかく魔物も出るというのに、
ひとりにするのは心配だ。
カタリナ
グランサイファーのあるドックまで、
私達も付いて行こう。
整備には立ち合いが必要だろう、と何故か慌てた様子でグランサイファーに残るロゼッタ。改めてロゼッタには謎が多いと思う一行であったが、誰も彼女を悪く言うことはなかった。
ロゼッタ
それじゃ、アタシ、
ここで整備の立会をしてるわね。
ロゼッタ
何かあったら呼んで頂戴。
どこだろうとすぐに駆けつけるわ。
ビィ
ロゼッタの奴……
いったいなんだってんだろうな?
イオ
明らかに怪しかったわよね……
ねぇ、グランはどう思う?
選択肢
知り合いを見つけたとか
ラカム
ロゼッタの知り合いが、ガロンゾに?
確かに、
あり得ない話じゃねぇな……
ラカム
けど、逃げるってことは、
顔を合わせづらい相手
ってことだよなぁ。
カタリナ
今更だが、ロゼッタは
その素性のほとんどが謎だからな……
オイゲン
なぁに……
大なり小なり、
みんな何かしら秘密を抱えてるもんさ。
イオ
わかんないことも多いけど、
なんとなくロゼッタは、
悪い人には思えないのよね。
ルリア
ですねっ!
私もそう思います!
カタリナ
ふふ……根拠はないが、
私もイオ達と同じ気持ちだ。
魔物
グオオオォォッ!!
オイゲン
っと……身内を変に勘ぐるより、
まずは目の前の敵を、
倒しちまわねぇとなぁ!
今後の進路を悩むグラン
一行の前に謎の少年が現れる。少年は何かを知っているような素振りを見せるが、そこに現れたエルステ帝国宰相フリーシア率いる帝国兵達によって、少年を連れ去られてしまう。
ラカム
しかし、整備に5日かぁ……
オイゲン
仕方ねぇさ、
それだけ酷使してきたんだ。
5日くらい大人しく待とうじゃねぇか。
ラカム
ああ、いや、
それもそうなんだけどよ。
ラカム
なぁ、グラン、
グランサイファーの整備が終わったら、
今度はどの島へ進むんだ?
カタリナ
む、そうだな……
ファータグランデ空域を出るために、
空図の欠片を集める必要があるが……
ルリア
でも……出来るなら私、
オルキスちゃんと
またお話がしたいです……
ルリア
ルーマシー群島で、
あんな別れ方をしちゃって……
ルリア
それに私、知りたいんです……
自分がいったい何者なのか……!
???
それは時が来ればわかることだよ。
ルリア……
君は何も心配する必要はない。
???
それよりも……
この島から出た後の心配なんて、
少し気が早いんじゃないかな?
オイゲン
坊ちゃんよぉ……
お前さん、何者だ?
???
ああ、オイゲン……君は変わらないね。
それに……久しぶり、ラカム。
ラカム
え、あ……?
いや、ワリィ……誰だ?
???
そうか……まぁ、君は幼かったからね。
しかし、その目は変わらないな、
安心したよ。
???
これなら、約束もきっとすぐに……
カタリナ
少年……話に割り込んですまないが、
さっきの、
気が早いというのは、どういう意味だ?
???
言葉通りの意味さ。
なにせグランサイファーはいま、
この島を出ることが出来ないからね。
オイゲン
そりゃあ、オレ達だって百も承知だぜ。
いまグランサイファーは
大がかりな整備中だからなぁ。
???
ああ、いや……
違うんだ、そういう意味じゃない。
???
グランサイファーは如何に整備しようと
この島を離れることは出来ない。
とある約束を果たさないと……ね。
イオ
ど、どーいう意味よ、それ!
約束って、いったい……
???
イオ・ユークレース、
それ以上のこの場での発言は慎みなさい。
???
貴方達に対しエルステ帝国は、
彼の発言への、
これ以上の詮索を許可しません。
カタリナ
なっ!?
い、いつの間に……
それに貴方はまさか……!?
フリーシア
私はエルステ帝国宰相、
フリーシア・フォン・ビスマルクです。
フリーシア
赤いトカゲを連れた騎空士……
貴方がこの騎空団の団長ですね?
フリーシア
貴方達騎空団に対しエルステ帝国は、
国の研究資材であるルリアの
返還を求めます。
オイゲン
はん……
結局、帝国の連中かい……
黒騎士の奴はどうした?
ポンメルン
そ、それを貴方達が
知る必要はありませンネェ……
ポンメルン
それよりも、
自分達の心配をすることですネェ!!
ポンメルン
必ずや復讐を果たし、
ルリアは帝国に返してもらいますよォ!
カタリナ中尉ィィィ……
ルリア
カタリナ……
グラン……
カタリナ
宰相殿……申し訳ないが、
私達にルリアを手放す気はない。
このままお引き取り願おうか。
フリーシア
仕方がありませんね……
……そこの少年を捕えなさい!
帝国兵
はっ!
???
おや?
これはなんだか、
面倒なことになったようだね。
ビィ
な、何しやがるんだ!?
そいつはオイラ達と、
関係ねぇじゃねーか!
フリーシア
聞けば、貴方達の騎空艇はいま
理由はどうあれこの島を
出られない状態にあるそうですね。
フリーシア
袋の鼠ならば、
焦って捕える必要もない……
フリーシア
事情を知っているらしい少年は、
こちらで預からせてもらいます……
……連れて行け!
帝国兵
はっ!
イオ
あっ! ちょっと待ちなさいよ!
あんた達なんてことを……!!
叫びも虚しく、
帝国兵に連れられ、
少年は一行の前から姿を消した。
予期せぬ事態の連続に、
グラン一行は
呆然と立ち尽くすしかないのだった。