王宮内をくまなく探し回ったものの、結局オルキスを見つける事は叶わなかった。オルキスを連れたフリーシアが、一体どこへ向かったのか。そして、ルリアとオルキスを狙う意図は何なのか。深まるばかりの謎に歯噛みしつつ、グラン
達はラビ島からの脱出をはかる。
グラン一行は黒騎士と共に、
王宮をくまなく探しまわったものの、
オルキスを見つけることは出来なかった。
黒騎士
なぜだ……
どういうことだ……?
カタリナ
参ったな……
これで手掛かりは無し、か……
イオ
やっぱり、
エルステのいまの首都に
行ったんじゃないの?
カタリナ
アガスティアか……
あり得ない話ではないと思うが……
ラカム
なぁ、あのフリーシアって奴は、
何が目的なんだ?
ラカム
それがわかれば、
いまどこにいるのかも、
わかるんじゃないか?
黒騎士
奴の目的か……
それがわかっていれば苦労はしない。
黒騎士
密偵を送り込みはしたが、
わかったのは手段の一部だけだ。
黒騎士
奴は何らかの目的達成の手段として、
あの人形やルリアを欲している……
それは間違いない。
黒騎士
しかし、その目的は不明だ……
だが、求める手段から見て、
星晶獣絡みなのは確かだろうな……
ルリア
星晶獣……
オイゲン
星晶獣が絡んでる、ってだけじゃ、
どの島に行ったってのは、
突き止められねぇな……
黒騎士
フリーシアの一族は、
このメフォラシュで
代々エルステ王家に仕えてきたのだ……
黒騎士
奴がここを選ばないということは、
ここではないどこかを選ばざるを得ない
理由があるということだ。
ロゼッタ
けど、それもわからないんじゃ、
動きようがないわ。
まずは手がかりを見つけなくっちゃ。
ビィ
そんなら、その
首都のアガスティア、ってとこに、
行ってみようぜ!
ビィ
なんてったって
エルステの首都なんだ、
何かわかるかもしれねーしな!
カタリナ
し、しかし、ビィ君……
アガスティアは、
言わばエルステ帝国の心臓部だ。
カタリナ
このラビ島に降り立った時以上に、
侵入は容易ではないだろうな……
ビィ
うげっ……
そ、そっか、そうだよな……
ラカム
ともかく、オルキスちゃんが
ここに居ないとわかった以上、
留まってたってしょーがねぇ!
ラカム
次にどこへ向かうかは、
ここを脱出してから考えようぜ!
なぁ! グラン!
王宮を脱出しようと走るグラン
達の前に立ちはだかる者がいた。秩序の騎空団の若き船長、リーシャであった。宰相フリーシアの行方を知っているという彼女は、情報の提供を条件にグラン
達との再戦を申し出る。秩序の騎空団員モニカがグランを認めた理由を知るため、剣を合わせたいのだという。グランサイファーで待つと言い残し、リーシャはその場を去るのであった。
グラン一行は、
ラビ島を早々に脱出するため、
古都の王宮を走る。
そんなグラン一行に、
背後から声をかける者がいた。
リーシャ
そんなに急いで……
どちらにいらっしゃるおつもりですか。
ルリア
リーシャさん!?
どうして……?
黒騎士
小娘が何の用だ。
いまは貴様と遊んでやる暇は……
リーシャ
小娘じゃないっ!
私はもう……小娘なんかじゃない!
カタリナ
リーシャ殿……?
リーシャ
私には……
貴方達のことが正直よくわかりません。
リーシャ
でも、モニカさんは、
貴方達のことを高く買っている……
リーシャ
現に、私とモニカさんを退けて、
貴方達はアマルティアを脱出した。
それが事実なのはわかってます……
リーシャ
でも、納得できないんです!
どうして貴方達が、
モニカさんに認められたのか……
リーシャ
だから……試させてください。
再び……私のこの刃で!
黒騎士
ふん……活きがいいな、小娘。
しかし、先も言ったように、
我々には遊んでいる時間は無い。
黒騎士
剣の相手が欲しいのなら、
とっとと帰って、
あのチビにでも……
リーシャ
私はフリーシア宰相が
どこへ行ったのかを知っています。
黒騎士
なに……?
リーシャ
秩序の騎空団第四騎空艇団は、
ファータグランデ空域の各所に
駐在員を置いています。
リーシャ
その内の一人から連絡がありました。
エルステ帝国の戦艦が寄港し、
フリーシア宰相他数名が上陸した、と。
黒騎士
ほう……
有象無象の集まりにしては、
良い働きをしてくれたようだな。
黒騎士
それで?
貴様はその情報を盾に、
我々に何を求める?
黒騎士
まぁ……
求められたところで、
従ってやるかどうかは別だがな……
リーシャ
私が求めるのは……再戦です。
リーシャ
私に認めさせてください……
貴方達という存在を……
リーシャ
そして私に教えてください……
いまの私には、
船長として何が足りていないのか。
カタリナ
非常に申し上げにくいが……
カタリナ
もしこれが独断専行なら、
船長としては、慎重さや
責任感が足りていないんじゃないか?
リーシャ
うぐっ……!?
それはその、えっと……
リーシャ
と、とにかく!
貴方達と再び剣を交えれば、
何かがわかる気がするんです!
リーシャ
モニカさんだけじゃなくて……
きっと父さんも、
貴方達には一目置くと思う……
リーシャ
私はまだまだ、
二人には遠く及ばない……
だけど、近づきたいんです。
リーシャ
だから……待っています。
貴方達の騎空艇、
グランサイファーのそばで。
それだけ言い残すと、
リーシャはその場を去って行った。
ラカム
宣戦布告……ってやつか?
こりゃあ……
黒騎士
くくっ……
あの小娘も、
少しは骨があるようじゃないか。
黒騎士
あまり待たせるのも悪いな……
さっさと行って、
早々にぶちのめしてやろうじゃないか!