最悪の場合、世界そのものが消滅しかねないフリーシアの危険な計画に戦慄するグラン
一行。いままで旅をしてきたこの世界を守るため、そしてオルキスを取り戻すため、一行はフリーシアを止める決意を新たにする。
ビィ
け、けどよぅ……!
歴史から星の民の存在が消えたとして、
いったい何が起こるってんだ?
黒騎士
一言で言って……
何が起こるか誰もわからない。
黒騎士
オルキスの父君の話では、
アーカーシャは使われることなく、
封印されていたはずだ。
黒騎士
最悪の場合、
いまのこの世界そのものが、
消滅することも有り得る……
カタリナ
馬鹿な……
たった一体の星晶獣で、
世界を滅ぼすだと……!?
黒騎士
仮に星の民の存在の抹消が、
上手くいったとして……
それでも世界は大きく変わるだろうな。
黒騎士
フリーシアの狙い通り、
星晶獣にその座を奪われたゴーレムは、
再び空の最大戦力として返り咲き……
黒騎士
ポート・ブリーズも、
バルツも、アウギュステも……
黒騎士
あらゆる島々の根底が覆り、
いまとは別の姿になることだろう。
ルリア
私達の旅した、あの島が……?
黒騎士
ましてやルリア……
お前の存在もどうなるか……
黒騎士
そして、
星の民を父親に持つオルキスも、
存在自体が消えてしまいかねない……
ラカム
いまだに信じられねぇ部分もあるが……
つまり、あの宰相サンを止めれば、
万事解決ってわけだな!
イオ
そうよね!
よくわかんないけど、
結局やることは変わんないわ!
ラカム
腹は決まったぜ!
さっさとオルキスちゃんを取り返して、
そのヤバそうな計画も潰してやらぁ!
帝国兵達をなぎ倒しフリーシアを追い詰める一行。それでも余裕の笑みを崩さないフリーシアは懐から魔晶を取り出し、リヴァイアサンとミスラの2体の星晶獣を自ら操ってグラン一行にけしかける。
カタリナ
宰相殿、悪いが私達は、
宰相殿の計画に賛同することは出来ない。
カタリナ
いまのこの世界を失うわけにはいかない。
そして、
ルリアを宰相殿に渡すつもりもない!
黒騎士
どうするフリーシア?
お前の手勢は、
大半がもはや相手にならんぞ。
黒騎士
大人しくあの人形を差し出すのなら、
これ以上の手出しは……
フリーシア
くくく……
そうですね……
やはり兵達では限界があったようです。
フリーシア
しかし、私の手勢は、
兵達だけにとどまらない……
フリーシア
ルリアが「器」として
覚醒済みであるとわかった以上、
もはや出し惜しみはしません。
そう言うと、
フリーシアは懐から、
二つの禍々しい結晶を取りだす。
ルリア
あれは……!
まさか……魔晶!?
フリーシア
顕現せよ!
星晶獣リヴァイアサン!
星晶獣ミスラ!
――――!!
カタリナ
せ、星晶獣を同時に……!?
ロゼッタ
それに魔晶そのものの力も、
以前とは比べ物にならないほど
強くなってるわ……
ロゼッタ
オルキスちゃん無しで、
これだけの星晶獣を支配するなんて……
イオ
一体一体でも苦戦したのに……
勝てるの、これ!?
ラカム
やるしかねぇだろ!
ここで勝たなきゃ、世界がヤバいんだ!
気合入れろよ! グラン!
2体の星晶獣を辛くも退けるグラン
一行。「マリス」の使用を口にし、その場を去ろうとするフリーシアを追うも、帝国兵達に阻まれ一行はフリーシアの姿を見失ってしまう。
――――!!
カタリナ
はぁ……はぁ……
た、倒したのか……?
ルリア
だ、大丈夫!? カタリナ!
オイゲン
へへっ……
さすがにこりゃあ、
キッツイなぁ、おい……
黒騎士
しかし……
これで残るは……
フリーシア
…………
フリーシア
もはや
ただの星晶獣では
相手になりませんか……
フリーシア
計画を変更。
「マリス」を使います。
別動隊に準備を始めるよう伝えなさい。
帝国兵1
はっ!
黒騎士
待て!
このまま逃がすと……
帝国兵2
宰相閣下をお守りしろ!
黒騎士
くっ……!
雑魚共が……!!
フリーシア
後ほど、
またお会いしましょう……
フリーシア
そのときこそ、
ルリアを必ず、我が手中に……
そう言い残し、
フリーシアは
グラン一行の前から姿を消す。
しかし、その顔にもはや笑みはなく、
激しくも冷たい視線が、
ルリアを見据えていたのだった。