団結を取り戻した騎空団の面々は、得られた少ない情報から「マリス」の力の秘密を探る。魔晶の力を無理に注がれ、壊れる寸前の状態で運用されていると結論し、胸を痛めるルリアとオルキス。彼女らの想いを受け、ルーマシー群島への帰還を一層強く心に決める一行であった。
カタリナ
さて……
まず私達には、
越えなければならない相手がいる。
カタリナ
魔晶によって作り出された星晶獣……
いや、もはや星晶獣と
呼んでいいのかもわからないが……
カタリナ
ともかく、
ロゼッタと黒騎士を救い出すには、
「マリス」を攻略する必要がある。
オイゲン
信じらんねぇ強さの化物だったが……
ありゃ結局、なんなんだ?
ルリア
ロゼッタさんは、
ユグドラシルのコアに魔晶の力が
注がれてる、って言ってました……
ラカム
つまり、
星晶獣をさらに魔晶で、
強化してるってわけか……
ルリア
はい……
でも、ロゼッタさんは、
こうも言ってました……
ルリア
あの子はもう
壊れる寸前なの、って……
ルリア
きっとユグドラシルに、
受け止めきれないほどたくさんの力が、
無理に注がれてるんだと思います。
オルキス
ごめんなさい……
カタリナ
うん?
どうしたんだ? 突然……
オルキス
私が目覚めさせなければ……
眠ったままだったなら……
オルキス
ユグドラシルはきっと、
酷い目に遭わずにすんだから……
ルリア
…………
カタリナ
そうだな……
では、私達と一緒に、
謝りに行こうじゃないか。
オルキス
え……?
カタリナ
オルキス……君がそう思うのなら、
謝るべき相手は私達じゃない。
そうだろう?
カタリナ
もう一度ルーマシーへ行って、
ユグドラシルに謝ろう。
心を込めて、な。
オルキス
う、うん……!
カタリナ
ふふ……
ルーマシーに戻らねばならない理由が、
また一つ増えてしまったな。
オイゲン
ああ……だからオレ達は、
立ち止まってるわけにゃ
いかねぇんだ……!
ロゼッタ曰く、ユグドラシル・マリスを自壊から救うための鍵はビィにあるという。しかし、ビィ自身には心当たりが無いらしい。ビィはグラン
の父親に拾われる以前の記憶を失っているため、情報源を他に求める一行。そして、空域の外にまで活動範囲を持つという秩序の騎空団であれば情報を持っている可能性があると結論した一行は、秩序の騎空団の本拠地アマルティア島を目指すのであった。
ラカム
しかしなぁ……
それで俺達はどう戦えばいいんだ?
ラカム
まずはその、
力の注がれてるコアとやらを
探し出しゃいいのか?
イオ
でも、どう考えても、
そのコアにたどり着く前に、
襲ってくるわよね……
ルリア
うーん……
でも、あの力はもうユグドラシル自身と
完全に混ざり合ってるようでした……
ルリア
だから、ユグドラシルから、
魔晶の力を分離させないと、
ダメかもしれません……
オイゲン
それは、
ルリアやオルキスの能力じゃ、
どうにもならねぇのか?
オルキス
わからない……
やったことがない、から……
カタリナ
そういえば……
ロゼッタはビィ君に言伝をしていたな?
あの子を救う力がある、と……
ビィ
それなんだけどよぅ……
オイラ、島を出てから、
ずっと考えてて……
ビィ
でも、わかんねぇんだ……
ロゼッタが、
オイラに何を言いたかったのか……
ラカム
ってことは……
ビィはロゼッタの言ってたことには、
身に覚えがない、ってことなのか?
ビィ
いや、
身に覚えがないわけでも
ねーんだけどよぅ……
ビィ
実はオイラ……
グランの親父さんに
拾われる前の記憶が全くねーんだ。
ビィ
だからオイラ、もしかしたら……
記憶を失う前は……
選択肢
トカゲだったのかも
ビィ
んなっ!?
そんなわけねーに決まってんだろ!
ビィ
っていうか、
真面目な話をしてんだから、
茶化すんじゃねぇやいっ!
カタリナ
ま、まぁまぁ!
ともかく、ビィ君の出生については、
情報を集める必要がありそうだな。
ラカム
情報収集か……
となりゃあ、向かう先は……
選択肢
歴史ある国
オルキス
歴史のある国……エルステ?
カタリナ
確かにエルステの歴史は、
覇空戦争以前にまで遡るようだが……
オイゲン
いまのオレ達にゃあ、
とてもじゃねぇが近づけねぇな。
イオ
あっ!
ねぇねぇ、それなら、
秩序の騎空団はどう?
イオ
あそこなら色んな情報がありそうだし、
基本的には悪い人達じゃないんだから、
きっと協力してくれるわよ!
ラカム
秩序の騎空団か……
なかなか悪くない判断なんじゃねぇか?
カタリナ
だな……
それに秩序の騎空団のほうも、
帝国の動きは気になるところだろう。
イオ
もう帝国っていうか、
あの宰相さんの動き、
って感じだけどね……
ラカム
そんなら行先は決まったな!
秩序の騎空団の
アマルティア島に向かって全速前進だ!
グランらがアマルティア島へと舵を取ったその頃、秩序の騎空団の重鎮モニカは、アマルティアの牢獄に囚われていた。アマルティアで起きた異変を止める事ができるのはリーシャひとりであるとつぶやくモニカ。モニカはリーシャに希望を託し、牢獄の中で静かに祈りを捧げるのであった。
グラン一行が、
アマルティア島へと向かい始めた頃。
秩序の騎空団第四騎空艇団の
本部が置かれる第四庁舎の牢獄では、
モニカがひとり、祈りを捧げていた。
モニカ
…………
モニカ
(リーシャ……
絶対に無理はするんじゃないぞ……)
モニカ
(いまやお前は我々に残された、
たった一つの希望なのだから……)