グラン達は協力してガンダルヴァに集中砲火を浴びせかける。しかしガンダルヴァには効かない。彼の人智を超えた力を前に、グラン
達は一人また一人と倒されていく。残されたリーシャは父の姿を想い、英雄になれない自分の非力さを呪う。しかし覚悟を決めた彼女に迷いはなかった。仲間を助けるため、真の力を覚醒させる。
ラカム
ふぅ……まさに集中砲火だな。
これだけやりゃあ、
星晶獣でも倒せるんじゃねぇか?
イオ
っていうか、
ちょっとやり過ぎちゃったんじゃ……
ガンダルヴァ
ふぅー……
リーシャ
……!?
カタリナ
ば、馬鹿な……
あれだけの砲火の中を、
どうやって……?
ガンダルヴァ
ん? 終わりか?
なら今度はこっちからいくぜ。
カタリナ
なっ!?
き、消え……
ルリア
カ、カタリナっ!
後ろ!
カタリナ
なっ……!?
カタリナ
がふっ!?
ガンダルヴァ
まず一匹……
ラカム
くそっ……!?
どうなってんだ!?
これがあいつの本気だってのか!?
ガンダルヴァ
その通りだ……
ラカム
なっ!?
い、いつの間に……!?
ラカム
ぐあっ!?
ガンダルヴァ
圧倒的ってのは退屈なんだよ……
オレ様が手を抜いてたほうが、
やりがいがあっただろ?
ガンダルヴァ
絶対に勝てない相手に
人は努力をしねぇからなぁ……
リーシャ
そ、そんな……
ガンダルヴァの人智を超えた力を前に
一行はなすすべなく、
次々と仲間が倒れていく。
そうして気づけば立っているのは、
グラン、ビィ、ルリア、
そしてリーシャだけとなっていた。
ガンダルヴァ
さて……
残るはお前らだけだな。
なかなか楽しませてもらったぜ。
リーシャ
くっ……
ガンダルヴァ
お前ら、頑張ったほうだぜ。
間違いなく一線を越えた強さに
足を踏み入れつつある。
ガンダルヴァ
けどなぁ……足りねぇんだ。
まだ、お前らには、
オレ様と相対する資格がねぇんだよ。
リーシャ
…………
リーシャ
(父さん……
私は……ここで終わりなの?)
リーシャ
(やっぱり……
私がみんなを助けようなんて……)
リーシャ
(私には、そんな資格……)
リーシャ
違う……
ガンダルヴァ
なに……?
リーシャ
誰かを助けるのに……
仲間を護るのに資格なんていらない……
リーシャ
私は父さんのような英雄じゃない……
父さんやモニカさんみたいな、
圧倒的な力も持ってない……けど!!
リーシャ
だけど、仲間を助けると……
仲間を護ると誓ったのは私なんだ!!
リーシャ
私が護りたいから!
だから戦うと誓ったんだ!!
この覚悟は誰にも渡さない!!
ガンダルヴァ
それで……?
英雄でもねぇ、大した力もねぇお前が、
いったい何をするんだ?
リーシャ
もう仲間を傷つけさせたりしない……
私が……この場で、お前を倒す!!
ガンダルヴァ
くはっ……!!
いいぜ、やってみろよ!
ガンダルヴァ
全空を股にかける化物の血……
その血の誇りを、
このオレ様に見せてみろ!!
リーシャ
やろう……グラン。
私はもう絶対に逃げない……
絶対に……負けたりしない!!
リーシャはついに強敵ガンダルヴァを撃破し、帝国兵をアマルティアから一掃する。念願のモニカ救出にも成功し、島も平和を取り戻した。しかしモニカはそんなリーシャに船団長解任を要求する。そして同時に、グラン
達一行についていくようにと新たな任務を言い渡すのであった。こうしてリーシャの新たな旅が始まる。
ガンダルヴァ
ぐ……がふっ……
リーシャ
はぁ……はぁ……
くっ……
ビィ
お、おい!?
大丈夫か!? リーシャ!
ガンダルヴァ
あれが全力か……
大したもんだ……
お前はやっぱり、あの化物の子供だよ。
ガンダルヴァ
カッコ悪ぃなぁ……
このオレ様も……
ぐっ……さ、流石に身体が……
帝国兵
中将閣下!?
おい、誰か! 誰か来てくれ!
帝国兵
撤退だ! いますぐ島を引き揚げるぞ!
中将閣下を
安全な場所までお連れしないと……!
激戦の末、
中将ガンダルヴァを退けた
グランとリーシャ。
中将の敗北に伴い、
帝国兵達も島から引き揚げ、
アマルティアには日常が戻りつつあった。
モニカ
よくやったな、リーシャ!
私も先輩として鼻が高いぞ!
リーシャ
あ、ありがとうございます……
ただ、その、傷に響くから、
あまり叩かないでくださ……いたっ!?
モニカ
あのガンダルヴァを相手に、
この程度の怪我で済んだのだ!
運が良かったと思うんだな!
リーシャ
は、はぁ……
いたた……
モニカ
いや、運だけではないか……
グラン……
お前にはどう礼を言ったものだろうな。
モニカ
リーシャを支えてくれたことも含め、
お前には本当に、
いくら感謝しても足りないくらいだ。
ラカム
ったく……
俺達が気絶している間に、
全部片付けちまうんだもんな。
カタリナ
ふふ……
まったく君は、
本当に大した奴だ……
イオ
あのおじさん……
レディの身体に怪我させるなんて、
絶対に許さないんだから!
オイゲン
はは……
聞いた話じゃあ、あいつも
いまは満身創痍みてぇじゃねぇか。
モニカ
ああ……
奴らに再び侵攻するつもりがあるかは
わからないが……
モニカ
この間に、我々は我々で、
一層、島の守りを固めるとしよう。
モニカ
さて、リーシャ……
ところで私はお前に、
言い渡さなければならないことがある。
モニカ
もうだいたい
察しはついていると思うが……
リーシャ
はい……
独断で島を不在にして、
本当に申し訳ありませんでした……
モニカ
船団長ともあろう者が、
無責任な行動を取った罪は重い……
モニカ
ましてや、運悪くそのタイミングで
奴らの侵攻があったのだ……
モニカ
これらを踏まえ、
私は船団長に次ぐ地位の者として、
お前に裁量を言い渡さなければならない。
リーシャ
はい……
ルリア
待ってください!
リーシャさんは島を救ったんだし、
あまりひどいことは……
モニカ
それはそれ、
これはこれだ……
モニカ
良いことをしたからといって、
悪いことが帳消しになるわけではない。
リーシャ
ありがとう、ルリア……
でも、大丈夫、
覚悟してたことだから……
モニカ
ではリーシャ……
私は第四騎空艇団船団長補佐として……
モニカ
リーシャ……
お前に第四騎空艇団船団長の
辞任を勧告する。
リーシャ
はい……
モニカ
どうする?
あくまで勧告であり、
強制力はないが……
リーシャ
いいえ……船団長という立場は、
私にはまだちょっと、
早かったんだと思います……
ルリア
リーシャさん……
モニカ
わかった……
船団長補佐として、
私はそれを受諾しよう。
モニカ
では暫定的に私が、
第四騎空艇団の
トップということになるな。
リーシャ
はい……
そうですけど……?
モニカ
こほん……それではリーシャ、
辞任して早々だが、
お前に辞令を言い渡す。
リーシャ
え?
モニカ
リーシャ……お前には本日付で、
グランの騎空団に
派遣されてもらうぞ。
リーシャ
え……えええぇぇぇ!?
モニカ
グランとはなかなか
良いコンビだったそうじゃないか!
リーシャ
で、でも!
そんな……いきなり……
カタリナ
ふふ……いいんじゃないか?
私達に断る理由は、
無いと思うが……?
選択肢
大歓迎
ビィ
だなっ!
オイラ達は仲間が増えるのは
大歓迎だぜ!
モニカ
まぁ、真面目な話、
エルステ帝国のここ最近の動向は、
目に余るものがあるからな……
モニカ
秩序の騎空団としても、
グラン達と協力関係を結んで、
共に帝国に対抗していきたいんだ。
リーシャ
そ、それで私を、
グランの騎空団に……?
モニカ
そういうわけだ!
新天地でも頑張れよ、リーシャ!
そう言うと
リーシャの小さな先輩は、
力強くリーシャの背中を叩く。
困った表情を浮かべながらも、
リーシャの胸の内には
冒険への期待が膨らみ始めるのだった。