人を食らうことしか興味のないフェンリルと、グラン
達の敵であることを早々に宣誓し、その争いに愉悦を見いだすロキ。二人の狂気じみた雰囲気に苛立つグラン達は一丸となってこれに立ち向かう。
グラン一行は村人達を庇い、
星晶獣フェンリルと相対する。
フェンリル
ちっ……
邪魔するってんなら、
テメェから喰ってやろうか!?
カタリナ
何を言われようと、
この場を譲る気はない……
フェンリル
そうかよ……
じゃあ、テメェが今夜の前菜だ!!
ロキ
フェンリル!
フェンリル……だめじゃないか。
そういう短絡的なのはよくないよ。
ロキ
彼らは敵だ……ただの餌じゃない。
楽しまなくっちゃ。
ラカム
楽しむだと……?
てめぇ……
とことん腐ってやがるみてぇだな。
ロキ
あはっ! いいね、それ、それだよ!
こういう言葉のやり取り、
すっごくそれっぽいよ!
ロキ
フェンリル……
君もこういうことを楽しまなくっちゃ。
ほら、何か挑発でもしてごらん?
フェンリル
ロキ、テメェ……
オレのことまで、
おちょくってやがんのか!?
ロキ
フェンリル……
いけないなぁ、そういう態度は。
ロキ
いいかい? フェンリル……
僕が、この場を、
楽しめと、言っているんだ。
フェンリル
ちっ……
リーシャ
貴方……
いったい何が目的なのですか?
どうして私達の前に?
ロキ
挨拶……それと宣誓かな。
ロキ
僕は君達の……この空の敵だ。
だから、末永くよろしくね。
リーシャ
敵……敵ですか。
では私達も、
それ相応の応対をする必要がありますね。
ロキ
そうこなくっちゃ!
さぁ、フェンリル、
仕切り直しだ。
ロキ
フェンリル……
君に必要なのは物事を楽しむ余裕だよ。
今度は存分に楽しむといい。
フェンリル
けっ……
いいんだよ、そういうのは。
そういうのは、ロキ……テメェの分担だ。
フェンリル
オレは腹いっぱいになりゃ、
それでいい……
フェンリル
今度こそ、
テメェらの喉笛、喰いちぎってやる!!
グラン
達はフェンリルとの激闘の末、勝利を収める。しかしフェンリルは力に制限を加えられていた。ロキは余裕の笑みを浮かべ、いくらかの忠告を口にすると、フェンリルをつれて去って行く。グラン
達は新たな脅威の出現に戦慄する。
ロキ、フェンリルとの激戦を制する
グラン一行。
しかし、
フェンリルに怯んだ様子は無く、
ただ悪態を吐いていた。
フェンリル
ロキ!
やっぱ邪魔だ! この鎖、外せ!
ロキ
駄目だよ、フェンリル。
それは必要なものなんだから。
ロキ
それに……こうでなくちゃね。
君達は僕の敵なんだから……
フェンリル
けっ……相変わらずだな、テメェは。
腹も膨れねぇのに、
何がそんなに楽しいんだか……
ロキ
さてと……
とっても楽しませてもらったし、
僕達はもうそろそろ行くよ。
ロキ
そうそう……最後に一つ、忠告だ。
みんながみんなボクみたいに
気が長いわけじゃないからね。
ロキ
あまり悠長にしていると、
せっかく守った大事なものを、
結局、失ってしまうかもしれないよ。
オイゲン
なんだと……?
おい、そりゃどーいうことだ?
ロキ
どういうことだろうね?
ふふ……さぁ、行くよ、フェンリル。
フェンリル
ふん……
ロキが軽く指を振ると、
不意にその周囲が光に包まれる。
一同が眩しさに目を閉じ、
再び目を開くと、
すでにその場に二人の姿はなかった。
ラカム
ったく……
いったいなんだったんだよ?
あいつらは……
リーシャ
挨拶と宣誓……
本当にそのためだけに、
私達に会いに来たみたいですね。
オイゲン
星の民がエルステ帝国の皇帝、か……
やれやれ……
とんでもねぇことになっちまったな。
カタリナ
奴は執拗に、
私達の敵であると言っていたな。
カタリナ
ということは恐らく……
これが奴との最後の邂逅、
ということもないのだろうな……
新たな脅威の出現に戦慄する
グラン一行。
空と星の歴史が育んだ禍根は、
あまりに大きな壁として、
一行の前に立ち塞がるのだった。