黒騎士アポロニアは、宰相フリーシアによって隠蔽された真実を探るべく、エルステ帝国の首都があるアガスティアへと向かうことを決める。敵の懐に飛び込む無謀を一行は止めるが、アポロニアはそれを聞かず、一行も途中までの道を共にすることになる。一行は移動を始めるが、この時、アポロニアは密かに魔晶の欠片を懐へ入れるのだった。
ユグドラシル・マリスを退け、
グラン一行はそのコアを、
魔晶の力から解放する。
コアから切り離された
黒い結晶が散らばる中、
ドランクは自らが掴んだ情報を明かす。
ドランク
あの宰相サンったら、
まだまだ隠し事が
あるみたいなんだよね!
黒騎士
ふん……隠し事、か。
貴様の働きに、
期待していないわけではないが……
黒騎士
そもそもあの女が、
我々に隠していることなど、
挙げ連ねればキリが無いだろう?
ドランク
あー、まぁ……
それを言っちゃうとねぇ……
黒騎士
いままであの女には、
散々踊らされてきたからな……
黒騎士
これでまた二の舞を踏んだとあっては、
もはや笑い話にもならん……
ラカム
確かにまぁ……
あの宰相サンは、
底が見えねぇ相手だけどよ……
ラカム
それで?
それじゃあ、
この先はどうするつもりなんだ?
黒騎士
私は前提としていた情報が、
そもそも奴から
聞かされていたものだったからな……
黒騎士
まずは自らの目と耳で、
改めて情報を洗い直す。
黒騎士
私には、希望も絶望も、
全てを等しく、
知っていく必要があるのだ……
黒騎士
そのために、私はこれから、
アガスティアの帝都へと向かうつもりだ。
カタリナ
ア、アガスティアの帝都だと!?
貴殿は自分の置かれている状況を、
理解しているのか!?
カタリナ
秩序の騎空団を動かしたように、
帝国はもはや完全に、
貴殿を敵と見なしている。
カタリナ
そんな状況で、
敵の懐に飛び込もうなどと……
黒騎士
状況など問題にならん。
それに待ったところで、
好転するものでもないだろう?
カタリナ
そ……それは、そうだが……
しかしだな……
黒騎士
およそ十年前……
オルキスが心を失った直後のことだ。
黒騎士
記録ではその頃に、
何かがメフォラシュより、
アガスティアに運び込まれている。
黒騎士
最高顧問を務めている間に、
その運び込まれたものについて、
探ってはみたが……
黒騎士
結局、それが何であったのか、
この私にもわからずじまいだった。
リーシャ
エルステ帝国の最高顧問ですら、
見つけられない情報となると……
黒騎士
そうだ……
何者か……いや、あの女が、
意図的にそれを隠していたのだ。
黒騎士
当時は奴との協調を優先し、
それ以上は深く追及しなかったが……
黒騎士
いっそ追われる身ならば好都合だ。
これ以上関係が
悪化することもないからな。
黒騎士
奴が隠すというのなら、
どんな手を使ってでも、
それを暴いてやるさ……!
ビィ
へへっ……!
黒騎士の奴、
もうすっかりいままで通りだな!
オルキス
うん……
アポロには……いつもこうやって、
元気でいてほしい。
ドランク
なぁるほぉどねぇ~!
ま、そういうことなら、
僕の情報も無駄にはならないかな~?
ドランク
実はねぇ~?
とある情報筋から聞いたんだけど~
あ、その情報筋っていうのは……
ドランク
あ痛っ!?
スツルム
長い……
もったいぶるな、
さっさと話せ。
ドランク
も~! スツルム殿ったら、
短気なんだから……
怒りっぽいと損するって……
ドランク
あたっ!?
わかった! わかりましたって!
だからぐりぐりしないでよね!
イオ
いまさらだけど……
黒騎士はこの二人を選んで、
後悔とかしなかったの?
黒騎士
……聞くな。
ドランク
はぁ……
それがねぇ……
実はここ最近、帝都で……
オイゲン
っと、待ちな……
その話はどうやら、
後に回したほうが良さそうだ……
ロゼッタ
力の残滓に惹かれて、
魔物が集まって来てるわ……
ロゼッタ
お話の続きは
グランサイファーに
戻ってからにしましょ?
ドランク
もう!
これからってとこなんだけどなぁ~!
スツルム
ふん……もったいつけて、
さっさと話さないからだ。
ほら、行くぞ。
グラン一行は、
連れ立ってグランサイファーへと
歩き始める。
踏み出した黒騎士の一歩に、
散らばっていた禍々しい結晶が当たる。
黒騎士
魔晶、か……
黒騎士
…………
ルリア
どうしたんですか? 黒騎士さん。
もうみんな行っちゃいましたよ?
黒騎士
ああ、いや……大丈夫だ。
黒騎士はそう応じると、
足を速めて、
グラン達に合流する。
その懐には人知れず、
散らばっていた魔晶の欠片を、
忍ばせているのだった。
グランサイファーへ戻ったグラン一行はドランクの話を聞く。それによると、最近、エルステ帝国の首都があるアガスティアへ多量の物資が流れているらしく、ドランクは新兵器の開発を疑っているという。真偽を確かめるべく一行はアガスティアへ舵を切る。
グランサイファーに
たどり着いた一行は、
ドランクが掴んだという情報を聞く。
ドランク
ここ最近、帝都で
どーも怪しい動きがあるんだよねぇ。
ドランク
ほら、クロム鋼とかさ?
普通はなかなか使わないようなものが、
ガンガン帝都に流れてて……
ドランク
帝国はアガスティアで、
何か新しい兵器開発を
始めたんじゃないか、って……
黒騎士
ふん……
連中がまたロクでもないことを
始めたということか……
ラカム
ともあれ、それなら、
行先に変更はねぇな?
ラカム
乗りかかった船ってやつだ。
アガスティアの近くまでなら、
送ってやろうぜ? グラン?
カタリナ
危険には違いないが、
帝国の動向も気になるからな……
ラカム
うっし! んじゃあ、
アガスティアに向けて全速前進だ!
魔物なんざ蹴散らしていくぞ!