隠し港から帝都アガスティアへ潜入するグラン
一行。しかし、そこにはすでに宰相フリーシアが待ち構えており、一行は敵に囲まれてしまう。フリーシアはこのまま引き下がるようグラン
達に勧告するが、フリーシアの計画で世界が危機に陥ると知っている一行はこれに反発。アダムは自ら囮を引き受け、一行に早くリアクターのあるタワーを目指すよう促す。
グラン一行は、
帝国から離反したアダムの指示を受け、
最下層よりアガスティアに再び侵入する。
しかし、隠し港に騎空艇を泊め、
艇を降りた一行を待ち構えていたのは、
思いもよらない光景だった。
フリーシア
さぁ……
全員武器を捨て、
両手を頭の後ろで組みなさい。
アダム
…………
黒騎士
やれやれ……
こうなることを、
全く危惧しなかったわけではないが……
アダム
フリーシア宰相……
どうして貴女がここを……
フリーシア
アダム大将……
貴方が裏切ったことが最大の理由です。
フリーシア
帝都について多くの情報を持つ貴方が
そちらに居る以上、
必ずその情報を有利に使うはず……
フリーシア
それさえわかれば、
無謀な正面突破を警戒して
兵を配備する必要はない。
フリーシア
その分の人員を隠し港の捜索に充て、
後は中でも最も侵入しやすい隠し港に、
重点的に網を張る……
フリーシア
このような理由とはいえ
賭けの部分もあったのですが……
どうやら運に恵まれているようですね。
フリーシア
さぁ、武器を捨て、手を後ろに組み、
大人しく艇に戻りなさい……
さもなくば……
フリーシアの腕の動きに合わせ、
グラン一行を取り囲む兵達は、
改めて己の武器を握り直す。
しかし、
一行と行動を共にする男の姿を見て、
兵達の間にも疑問と衝撃が走るのだった。
帝国兵1
あれ……アダム大将だよな?
帝国を裏切って侵入者を手引きして、
アガスティアで捕まったはずじゃ……
帝国兵2
いま……アガスティアの外から、
騎空艇に乗ってきたよな……
まさか脱獄したのか……?
帝国兵3
んな馬鹿な!
ここに来る前だって、
警報なんて全然……
オイゲン
なぁ……オレの聞き間違いじゃなきゃ、
いまアンタ、
艇に戻れって言わなかったか?
フリーシア
その通りです。
そのまま騎空艇に戻り、
即刻このアガスティアを去りなさい。
フリーシア
私にはもう
貴方達を害する理由はありません。
フリーシア
無益に戦うくらいならば、
このまま、
引き下がっていただきたいのです。
カタリナ
それは……
もはや計画に、
ルリアもオルキスも必要ないからか?
フリーシア
ふん……
そこまで知っているのなら、
話は早い……
フリーシア
貴方も誇りある空の世界の住人ならば、
空が正しい歴史を取り戻す瞬間を、
大人しく待っていてはどうですか?
アダム
それは出来ません……
アーカーシャを使うことの危険性は、
貴女もよく知っているはずです。
アダム
最悪、
貴女自身も犠牲になる可能性が……
フリーシア
ふん……
その程度のこと、
世界の修正を躊躇う理由にはなりません。
フリーシア
正しい世界を、
私自身が観測できるかどうかは、
些細な問題でしかないのです。
フリーシア
文字通り何を犠牲にしようとも、
世界は正しく修正されなければならない。
この一点が揺らぐことはありえません。
オイゲン
やれやれ……
こりゃあ、説得は
到底無理そうだなぁ、おい……
黒騎士
ふん……
私は元より説得する気などないがな……
黒騎士
これは私怨だが、
奴には2、3発叩き込まないと
気が済まん……
フリーシア
大将アダム……
貴方も誇り高きエルステの象徴として、
歴史の修正を祝福すべきです。
フリーシア
馬鹿なことはやめて、
大人しくしていてはどうですか?
アダム
それは……
選択肢
無理
アダム
っ!?
イオ
そ、そーよ!
正しい歴史だかなんだか知らないけど、
みんなを巻き込んでんじゃないわよ!
ロゼッタ
ふふ、そうね……
いまが正しくない歴史だったとしても、
アタシはいまを失いたくないわ。
オイゲン
誰だって抱えるモン抱えて、
なんとかかんとかやってきてんだ……
オイゲン
それを正しくねぇから
書き換えちまおうってのは、
ちっとワガママってやつじゃねぇか?
選択肢
嫌だ
フリーシア
嫌……?
そんなことは問題にはなりません。
フリーシア
大切なのは感情ではなく、
その歴史が正しいかどうか、
その一点につきるのですから。
ラカム
ったく……
正しい歴史ってのが
そんなに大事かね……
リーシャ
確かに……
星の民が侵略者で
あったことは事実ですが……
リーシャ
彼らにもたらされた技術によって、
空の世界が大きく進化したのも、
また事実です……
リーシャ
それらをまとめて否定してしまうことが
正しい歴史だとは、
私には到底思えません。
カタリナ
正しくない歴史だとしても、
私達はその歴史の上に立っているんだ。
カタリナ
私は、
私を支えてきた歴史を否定することが、
正しいことだとは思いたくないな……
ビィ
もうここまで来ちまってんだ……
オイラ達、
ここで引き下がったりなんかしねーぜ!
ルリア
そうです!
私には難しいことはわからないけど……
ルリア
でも! 私達のいまが……
大切な人達が危ないのなら……
見過すなんて、出来ないです!!
フリーシア
宣戦布告……ですか。
黒騎士
ふん……
貴様にはこれが、
それ以外のものに聞こえるのか?
黒騎士
まぁ……
そもそも私は
貴様と問答をする気などない。
黒騎士
貴様が進めている計画の件も含め、
私には貴様を倒す理由が
山ほどあるからな。
黒騎士
いい加減……覚悟は出来ているな?
フリーシア
ふん……
負け犬の遠吠えにしては、
見事な啖呵です……
フリーシア
いいでしょう……
互いに譲らぬというのなら、
後はただ決着をつけるまでです。
フリーシア
交渉は決裂です!
生死は問いません、
いますぐ彼らを捕えなさい!
帝国兵達
はっ!
帝国兵達をけしかけると、
フリーシアは踵を返し、
隠し港から姿を消す。
オイゲン
へっ!
なんだかんだと言いあうより、
こっちのがわかりやすくて助かるぜ!
ラカム
まったくだ!
ちっと厳しいかもしれねぇが、
まずはここにいる奴らを全員……
アダム
いえ……
ここは私に任せ、貴方達は
タワーに向かってください。
アダム
貴方達の騎空艇は、
私がこの身に代えても死守します……
アダム
だから、なんとしても起動される前に
タワーにあるリアクターを……!!
黒騎士
ふん……どうにもお前には、
こういう役回りを任せることが
多くなるな。
アダム
お気になさらずに……
それが私の役目ですから。
黒騎士
ふん……
カタリナ
わかった……
ならば私達は
早々にここを脱出しよう。
カタリナ
そして目指すは、
アガスティア中央のタワー……
カタリナ
星晶獣と魔晶を利用した
対都市エネルギー変換装置……
リアクターだ!