中将ガンダルヴァへ挑むグラン一行であったが、蓄積した疲労から苦戦を強いられる。一刻も早くタワーへ向かわねばならないグラン
達は、ガンダルヴァを避けて少しでも前へ進もうと試みる。
ガンダルヴァ
おらおらどしたぁ!?
疲れた顔してんじゃねぇよ! なぁ!
もっともっと楽しもうぜ!
カタリナ
はぁ……はぁ……
さすがに骨の折れる相手だな……
黒騎士
ちっ……この戦闘狂め……
こちらには戦いを
楽しんでいる余裕など……
不意にオルキスは、
黒騎士の鎧の隙間をハンカチで押さえる。
オルキス
血……出てた……
痛く……ない?
黒騎士
あ、ああ……
ガンダルヴァ
おいおい……
んなへばってるようじゃ、
下っ端共にすら負けちまうぞ!
オイゲン
悔しいけどよ……
こりゃ奴の言う通りだな。
ラカム
いまの俺達の目的は、
こいつと戦うことじゃねぇんだ……
道を選びながら、とにかく進もうぜ!
一瞬の隙をついてガンダルヴァの凶刃がリーシャを襲う。しかし寸前のところでモニカ率いる秩序の騎空団の助けが入り、更にポート・ブリーズの騎空士達を率いるシェロカルテ、バルツ公国軍を率いるザカ大公、そしてオイゲン隊長の危機と知って駆けつけたアウギュステ傭兵軍に至るまで、続々と援軍が駆けつける。
帝国兵
追え!
奴らにも疲れが見えている!
あともう一息で……
帝国兵
ぐはっ……!
ラカム
ったく……
こいつらどんだけ出てくんだ……?
ラカム
まさかとは思うが……
このまま本当に万単位の兵隊と
戦うことになるんじゃねぇだろうな……
リーシャ
帝国府官邸であるタワーを目指す以上、
最悪、その可能性も……
ビィ
って、危ねぇ!
後ろだ!
リーシャ
え……?
振り向いたリーシャのすぐ後ろには、
剣を振り上げた
ガンダルヴァの姿があった。
ガンダルヴァ
残念……
気付くのが一足遅かったなぁ!!
リーシャ
くっ……!
???
ダメじゃないか、リーシャ……
強敵を前にして、
一瞬でも注意をそらしては……
ガンダルヴァ
ほう……!
てめぇは……!
黒騎士
やれやれ……
なんとか間に合ったか……
リーシャ
モ……モニカさん!?
秩序の騎空団員1
リーシャ船長!
ご無事ですか!?
秩序の騎空団員2
帝国兵の雑魚は俺達に任せてください!
数には数で勝負ですよ!
リーシャ船長!
リーシャ
あ、貴方達まで……!
モニカ
ガンダルヴァよ……
うちのリーシャにずいぶんと
ちょっかいをかけてくれたようだな……
ガンダルヴァ
悪ぃなぁ……怒っちまったか?
ただまぁ、
ちょうど物足りなく感じてたとこだ……
ガンダルヴァ
てめぇも本気でかかって来な……
まとめて遊んでやるからよ!!
シェロカルテ
これはこれは~……
なんだかとっても物騒な感じですね~
ラカム
シェ、シェロ!?
おま……どっから……!?
シェロカルテ
騎空士あるところに
よろず屋ありですよ~
シェロカルテ
大事な戦いの前にも、
よろず屋によろ~ず……
うぷぷぷぷ……
モニカ
彼女はポート・ブリーズに
出入りする騎空士達の取りまとめ役を
買って出てくれたんだ。
モニカ
少し遅れてにはなるが、
彼らもじきこちらに合流できるはずだ。
モニカ
ふふ……それに駆けつけたのは、
我々だけじゃないぞ……
ザカ大公
わしらバルツの民も、
微力ながら協力させてもらおう。
イオ
師匠!?
な、なんで師匠までここに……
ザカ大公
帝国が何か事を起こそうとしている、と
秩序の騎空団の者から
連絡を受けてのう……
ザカ大公
公国軍の動かせるだけを、
こうして連れてきたというわけじゃ。
ロゼッタ
ふふ……
これは頼もしい援軍になりそうね。
傭兵
おおっと!
俺達も忘れてもらっちゃ困るなぁ!
ラカム
あー……えーっと……
……悪ぃ、誰だ?
傭兵
アウギュステ傭兵軍だ!
オイゲン隊長の危機と聞いて、
集まった有志で駆けつけたんだよ!
オイゲン
へへっ……
軍っつうほど上等なもんじゃあねぇが、
泣かせる真似してくれるじゃねぇか……
モニカ
リーシャ……
何もお前達だけで帝国兵まで、
相手にする必要はない……
モニカ
お前達はお前達で、
あのガンダルヴァと決着をつけるんだ。
いいな? リーシャ!
リーシャ
はいっ! モニカさん!
ビィ
へへっ!
こーなりゃ形勢逆転だぜ!
ルリア
はいっ!
こんなにたくさん仲間がいたら、
絶対に負ける気がしません!
リーシャ
グランさん、
準備はよろしいですか……?
リーシャ
モニカさん達に、
成長した私達の力を見てもらうんです!
この戦い……負けられませんよ!
続々と集結する援軍の助けを得てグラン
達はついにガンダルヴァを退ける。思わぬ再会に喜び合う一行であったが、宰相フリーシアの計画を止めるべくいまは一刻も早くタワーへ向かうべきだと黒騎士に促されると、モニカ達は皆、グラン
達を援護しタワーへの道を確保するよう立ち回る。
ガンダルヴァを退けた
グラン一行は、
改めて集まった面々を振り返る。
カタリナ
しかし、この短時間で、
よくこれだけ集まったな……
ドランク
いやぁ~
僕達もさぁ、ホント慌てたよね~!
ドランク
決戦までに秩序の騎空団の連中を
ひっぱり出して来い……
なんて言われちゃってさぁ~!
スツルム
気付いたら頼まれた以上の人手を
連れてくることになったけど……
問題……ないよな?
黒騎士
無論だ……
この帝都を相手にする以上、
戦える人員はいくらでも必要だからな。
モニカ
しかし……
まさかこんな形で、
貴公と共闘することになるとはな……
モニカ
それもわざわざ、
この私を指定して
協力を求めたと聞いているぞ?
モニカ
貴公のことは、
いけ好かない奴だと思っていたが、
頼られてみると、不思議と悪い気は……
黒騎士
小さい奴のほうが何かと
移動が速いかと思ってな……
黒騎士
最悪、ドランクにでも
小脇に抱えて運ばせればいい、
と考えたまでだ。
モニカ
なっ……!?
リーシャ
ま、まぁまぁ……
イオ
師匠っ!
応援に来てくれたのは
嬉しいんだけど……
イオ
大丈夫なの?
バルツの軍まで動かしちゃって……
ザカ大公
なに、心配はいらん……
そういう駆け引きは、
わしに任せておきなさい。
ザカ大公
それに可愛い弟子の危機とあっては、
師匠として出来る限りの応援を
したくなってしまうものじゃ。
カタリナ
シェロカルテ殿……
まさかこんな戦場のど真ん中で、
お会いする日が来るとはな……
シェロカルテ
ふっふっふ~
必要とされればよろず屋は、
どこにだって現れますよ~
カタリナ
ふふ……そうか、
それは何とも頼もしいな。
一行が加勢に駆けつけた者達と
言葉を交わしていると
モニカが状況を取りまとめる。
モニカ
さて……
再会を喜ぶのはそこそこにして……
我々には時間が無いのだったな?
黒騎士
その通りだ。
我々は1秒でも早く
タワーにたどり着かねばならん。
黒騎士
そして、すぐにでもあの女……
フリーシアの計画を止めぬことには、
この空の全ての存続が危ぶまれる。
ザカ大公
歴史そのものに介入する
星晶獣とはな……
ザカ大公
まったく……
星晶獣とは、
本当に恐ろしいものばかりじゃな……
モニカ
タワーまでたどり着くことが出来れば、
あの宰相の計画は止められるのだな?
リーシャ
はい……その計画の要である装置、
リアクターはタワーに在ると、
アダム大将は仰っていました。
モニカ
そうか……ならば話は簡単だ!
モニカ
我々は貴公らを全力でサポートし、
何としてでも
タワーまでの道を死守しよう。
モニカ
何しろここは帝都だからな……
山ほど帝国兵が待ち構えていると思うが、
それらの排除は我々に任せてくれ。
オイゲン
そいつぁ頼もしいなぁ、おい!
オレ達も帝国兵にゃ
ほとほと手を焼いてたとこだ。
ラカム
ああ……
あいつらと戦いながら進むから、
どうにも遠回りになっちまってよ……
モニカ
ならばここから先、
貴公らが進む道は一本道だ!
我々が先導する! 皆、遅れるなよ!