何度倒そうとも復活するフリーシアにとどめを刺すべく、グラン達は星晶獣アーカーシャの元へと向かう。グラン
達は未来からフリーシアの存在そのものを消そうとするが、不正に起動された星晶獣アーカーシャによって次々と仲間が消されてしまう。しかしその時、目覚めたビィの力が仲間達を呼び戻し、一行はアーカーシャを正常に起動させるため戦いを挑む。
フリーシア
ぐがっ! が……あ……
フリーシア
あ……ああ……
リーシャ
はぁ……はぁ……
こ、これで……
ミスラ
――――
フリーシア
っ!?
あああああああああっ!!
フリーシア
――――!
オイゲン
おいおい……
こりゃあ、いくらなんでも、
どうしようもねぇんじゃねぇか……?
イオ
でも……すごく苦しそう……
リーシャ
フリーシア宰相の再生が、
星晶獣ミスラの力によるものなら、
ルリアなら、何か方法が……
ルリア
それが、その……
ごめんなさい……
きっと私にも、どうにも……
カタリナ
ミスラの強制力は、
ルリアの力ですらどうしようもない……
カタリナ
星晶獣すら縛るその力を解くには、
誓約を達成させる以外に
方法はないんだ……
リーシャ
そんな……
黒騎士
いや……
一つだけ方法がある。
カタリナ
なに……?
黒騎士
ここは私が抑える……
その間にお前達は、
星晶獣アーカーシャを探して起動させろ。
黒騎士
あれはおそらく、
この近くにあるはずだ……
ビィ
なっ!?
いまさらそんなもん持ち出して、
どうしようってんだよ!?
黒騎士
アーカーシャならば、
あらゆる結果……
歴史を上書き出来るはずだ。
カタリナ
し、しかし!
仮に宰相が誓約した過去を
書き換えたとして……
カタリナ
そうしたら、
今度はいまの世界に、
どんな影響が出るか……!
黒騎士
だから、書き換えるのは未来だ。
オイゲン
未来……?
で、出来るのか?
んなことが……
黒騎士
アーカーシャは、
過去・現在・未来を含む、
全ての歴史を管理しているはずだ。
黒騎士
もし、未来の記述から
奴の存在を消し去ることが出来れば……
黒騎士
誓約も何もなく、
奴を止めることが出来るかもしれん。
イオ
でも!
だからそれじゃ、いまの世界が……
あ……!
イオ
そ、そっか!
そもそも未来の出来事だから、
どう変わろうと関係ないってこと?
黒騎士
珍しく察しが良いな……
幸いなことに、
我々は誰一人として未来を知らない。
黒騎士
ならば、どう書き換えようと、
いまに影響を及ぼすことは無いはずだ。
ルリア
で、でも……
そんなことをしたら……
黒騎士
いいから早く行け!
いまは他に方法は無い!!
フリーシア
…………
言い争う一行に狙いを定めるように、
フリーシアはゆっくりと動き始める。
カタリナ
……行こう。
確かに他に方法が無い上、
いまは宰相を止めることが最優先だ。
一行は黒騎士にその場を任せ、
星晶獣アーカーシャを見つけるべく
部屋を出る。
取り残された部屋で、
黒騎士はひとり、
異形と化したフリーシアと対峙する。
フリーシア
私を……
貴様ひとりで止められるとでも?
フリーシア
私には譲れないものがある……
そのためならば、私は……!!
黒騎士
それがどうした?
厄介なことに、
譲れぬものならば、こちらにもある。
黒騎士
そして……
貴様と戦うための力もな……
そう言って黒騎士は、
懐から禍々しい輝きの結晶を取り出す。
フリーシア
それは……!!
黒騎士
拾い物だが効果は十分だろう……
黒騎士
さぁ……
未来が書き換わるまでの間、
私が貴様と遊んでやろう……!!
黒騎士は手にした魔晶を自らに使用し、
フリーシアへと挑む。
オルキス
っ!?
後にした部屋から響く衝撃音に、
思わず一行は足を止める。
オルキス
アポロ……
イオ
いまの……?
ロゼッタ
……急ぎましょう。
いまアタシ達がすべきことは、
ここで振り返ることじゃないわ。
オルキス
…………
オルキスが不安そうにしていると、
不意にその頭に大きな手が乗せられる。
オイゲン
大丈夫だ……
あいつはオレに似て、
平気で無茶をするとこがあるが……
オイゲン
なんだかんだで、
そんな無茶も全部切り抜けてきたんだ、
そうだろ?
オルキス
……うん。
そのまま一行が歩みを進めると、
とある一室で、
ルリアとオルキスが足を止める。
オルキス
ここ……
ルリア
うん……
ここに……大きな力が……っ!?
アーカーシャ
――――
ラカム
なんだかんだで
こうして目にすんのは二度目か……
カタリナ
そうだな……
しかし、こうして現れたということは、
既に起動しているということなのか?
カタリナ
ルリア、君の方でなにか……
……ルリア?
ルリア
……
ルリア
――不正な起動処理、
及び敵対意識を検知……
ルリア
敵性存在を含む、
周辺情報の消去を行います――
カタリナ
ル、ルリアっ!?
オルキス
これ……あのときと、同じ。
あの森で……
アーカーシャを目覚めさせたときと……
ビィ
くそぅ! いったいどーなってんだ!?
ルリアはそいつに、
操られちまったのか!?
リーシャ
わかりません!
しかし、これは……!
アーカーシャ
ォォ……オオオオ……
アーカーシャが光を放つと共に、
周囲の全てが光に包まれ、
また光と化していく。
リーシャ
周りの……
全てが、消えていく……?
オイゲン
おいおいおい!
止める方法はねぇのか!?
ラカム
こ、こんなもん、
どうやって止めろってんだよ!?
オルキス
…………
アーカーシャ
…………
オルキス
もう……私にも、
何の反応も示さない……
ロゼッタ
これは……まずいわね。
イオ
せ、せっかく
宰相さんを止めたのに……
そんな……
オルキス
っ!?
オイゲン
おいおいおい……!
な、なんだよこりゃ……
悪い冗談かなんかか?
ラカム
いやぁ……
どうもそういうもんじゃ……
ルリア
敵性存在を含む、
周辺情報の消去を続行します――
リーシャ
まさかこれが……
星晶獣アーカーシャの……!?
グランの周囲からは、
次々と仲間が光に包まれ、
その姿を消していく。
イオ
うそ……!
ビィ
お、おい! ルリア!
目ぇ覚ませって!
これ、お前ならなんとか……!
ルリア
…………
ルリア
敵性存在を含む、
周辺情報の消去を続行します――
ロゼッタ
これは……
ルリアちゃんの意識と呼べるものは、
もうどこにも……
カタリナ
馬鹿な……
ルリア
――残存敵性存在2。
敵性存在を含む、
周辺情報の消去を続行します――
ビィ
カタリナまで……
ど、どうする!? グラン!
もうオイラ達しか居ねぇぞ!?
ビィ
(オ、オイラ達本当に、
ここで終わっちまうってのか……?)
ビィ
な、なぁ、グラン……
グランはまだ、
諦めたりなんかしてねーよな?
選択肢
もちろん
ビィ
だ、だよなっ!
選択肢
ここからでしょ
ビィ
へへっ!
こんな状況でも、
グランは変わんねーのな!
ビィ
(そうだ……
まだ諦めるわけにはいかねーぜ!)
ビィ
(オイラにも何か……
きっと、出来ることが……)
???
――――
ビィ
…………っ!!
リーシャ
っ…………!!
あれ?
私達、どうして……?
オイゲン
なんだぁ……?
なんか頭が……
膝をついた状態から、
オイゲンは頭を振りながら
ゆっくりと立ち上がる。
カタリナ
…………!
ロゼッタ
少なくとも……
全滅は免れたようね。
ロゼッタに続き、
他の消された仲間達も、
光に包まれながら次々に復活する。
ルリア
―― 一部機能の破損を確認、
自己防衛機能を一時停止、
機能回復に……移り、ます――
カタリナ
ルリアっ!
倒れたルリアを、
間一髪、グランが抱き留める。
ルリア
え? 私……?
イオ
ね、ねぇ、何が起きたの?
いまのまさか、ビィが……?
ビィ
オ、オイラにもよくわかんねーけど……
オイゲン
ともあれいまが好機だぜ!
オイゲン
アーカーシャの力が抑えられてるうちに、
ぶっ叩いて言うことを聞かせるぞ!
ルリアとオルキスによって星晶獣アーカーシャは正しく起動され、グラン
達は無事フリーシアを止めることに成功し、ルリアの優しさからフリーシアも一命を取り留める。こうして巨大な陰謀には終止符が打たれたものの、黒騎士とオルキスの間には、未だ大きな問題が残っているのだった。
星晶獣アーカーシャとの
死闘を制するグラン一行。
アーカーシャ
…………
ルリアとオルキスによって、
正しく再起動されたアーカーシャは、
その能力をルリアの手に委ねられる。
ルリア
(この中に……
過去・現在・未来の、
この世界の全ての記録が……)
ルリア
(……じゃ、じゃあもしかして、
私のことも、この中に……?)
ルリアは、
アーカーシャに意識で指示を出し、
自らに関する記録を見つける。
>
ルリア
これが、私の……
ルリア
…………
ルリア
え? これ……
黒騎士
はあぁぁぁっ!!
フリーシア
がはっ……!
フリーシア
はぁ……はぁ……
ミスラ
――――
フリーシア
うぐっ!?
あ……ああああああああっ!!
フリーシア
――――!
黒騎士
ちっ……
ミスラの絶対遵守の力によって
際限なく甦るフリーシアに、
黒騎士は苦戦を強いられていた。
フリーシア
…………
黒騎士
(やはりキリが無いな……
あまり長く続くのは、
避けたいところだが……)
フリーシア
…………
フリーシア
っ!? あ……
黒騎士
む……?
フリーシア
あ……
黒騎士
…………ッ
その後、
アーカーシャを鎮めた一行は、
黒騎士の元へと戻ってくる。
しかし、戻ってきた一行に
黒騎士が投げかけたのは労いの言葉
などではなく、叱責に近い質問だった。
黒騎士
貴様ら……
なぜこのようなことをした?
ルリア
え……?
えっと……?
黒騎士
とぼけるなよ……
私はフリーシアの存在を、
未来の記録から消せと言ったはずだ……
黒騎士
しかし、
なぜ奴はこうして
この場に存在している?
黒騎士が指を指す先、
そこには、昏睡し倒れ伏す
フリーシアの姿があった。
ルリア
えっと……あの……
ごめんなさい……
黒騎士
奴はこの世界そのものを
崩壊させようとしていたんだぞ?
そんな奴をなぜ……
ルリア
それは……そうかもしれません。
ルリア
で、でも! でも私には……
誰かを消してしまうなんて……
黒騎士
…………ッ
カタリナ
まぁ、いいじゃないか……
結果的に状況は丸く収まったんだ。
ルリアはアーカーシャの能力によって、
フリーシアの存在を未来から
抹消してしまうことはしなかった。
代わりにルリアは
フリーシアの魔晶と誓約を未来から消し、
彼女を止めたのだった。
黒騎士
ふん……つくづく甘い連中だ。
オイゲン
しかしまぁ、
これで事は片付いたんだろ?
ラカム
やれやれ……
やぁっとこれで一息つけるな……
イオ
はぁ……
なんだかどっと疲れた感じがするわ……
ロゼッタ
ふふ……お疲れ様。
皆頑張っていたものね。
リーシャ
ひとまず、
これで帝都も世界も一安心ですね!
お疲れ様でした! グラン!
ビィ
へへっ!
今回も大活躍だったな!
グラン!
巨大な陰謀に終止符が打たれ、
各々が安堵の息を漏らす。
黒騎士
…………
オルキス
…………
ルリア
…………
しかし、内に強い決意を秘めた者は、
自らの進むべき道を想い、
それぞれが互いを見守るのだった。